最近注目されている学習法のひとつに「アクティブラーニング」があります。
アクティブラーニングとは受講者が積極的に学習に参加する学習法のことですが、具体的にどのような学習法か理解できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事ではアクティブラーニングの意味や特徴、実施する際のポイントについて解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
本記事の内容は以下になります。
- アクティブラーニングとは?
- アクティブラーニングの手法と例
- eラーニングのアクティブラーニング化
- LMSを用いたアクティブラーニングを実施する際のポイント
- アクティブラーニングは企業研修でも活用されている
アクティブラーニングとは?
まず、アクティブラーニングについて下記のポイントで解説します。
- アクティブラーニングの定義
- アクティブラーニングが教育現場で注目を集める理由
- 教育現場でのアクティブラーニングの実施状況
アクティブラーニングの定義を簡単にわかりやすく紹介
これまでの学習では講師側が受講者に対して、一方向に内容を伝える受動的な学習が一般的でした。そのような学習に対し、アクティブラーニングは受講者同士で意見を交換したり、質問をしたりするなど受講者が能動的に学習に参加する学習法となっており、昨今注目を集めています。
アクティブラーニングは文部科学省によって「学修者の積極的な授業への参加を促す授業や学習法」と定義されています。簡単に紹介すると、グループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークといった学習法が挙げられます。
アクティブラーニングが教育現場で注目を集める理由
アクティブラーニングが教育現場で注目を集めているのは、社会が抱える問題に大きく関係しているからと言えるでしょう。
これまでの日本においては、与えられた情報をもとに業務を遂行する基礎的な能力を持った人材が求められていました。それが学校での学習にもそのまま反映され、教師から生徒へ知識を教えるという詰め込み型の学習法が主に取り入れられていました。
しかし時代は変わり、様々な社会問題への対応やグローバルでの競争など、答えのない問題に立ち向かう力が求められるようになりました。既存の受動的な学習のみでは、答えのない問題に対する柔軟な意見やアイデア・解決力を身につけることが難しく、学習スタイルの在り方も大きな変容を求められていたのです。
そこで日本では、はじめに大学、続いて高校にアクティブラーニングが導入されました。
2017年公示の学習指導要領では、「アクティブラーニング」という言葉こそ出てきませんが、「主体的・対話的で深い学び」との表現で小中学校でも能動的な学習方法を推奨しています。
教育現場でのアクティブラーニングの実施状況
アクティブラーニングの教育現場での実施状況についてデータを交えて紹介します。
リトルマーケティングパートナーズが2016年に行った調査によると、全国の高校では、アクティブラーニング型の授業の実施状況がすでに92.9%に達していたとのことです。
前回の調査は2014年に行われていますが、アクティブラーニング実施状況は2年で2倍に増加しているとのことです。現時点(2022年現在)での調査記録はまだありませんが、さらにその数は増えていることでしょう。
このように教育現場では、アクティブラーニングが当たり前のように取り入れられていることがわかります。
アクティブラーニングの手法と例
本章ではアクティブラーニングの具体的な手法と例について紹介します。
具体的な手法は下記になります。
- ジグソー法
- PBL
- Think-Pair-Share
- ラウンド・ロビン
- ディベート・ディスカッション
それぞれの手法を詳しく見てみましょう。
ジグソー法
ジグソー法とは、カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校のエリオット・アロンソン名誉教授が提唱した手法です。
ジグソー法の手順は以下のようになります。
- 学修者を均等にいくつかのホームグループに分ける
- 課題を発表
- ホームグループのメンバーごとに異なる学習をする
- 役割分担をし、同じ内容を学ぶ者同士(エキスパートグループ)を集める
- エキスパートグループで学習する内容は課題解決に必要な内容を人数分で分割したもの
- ホームグループに戻り、課題に取り組む
- 課題解決のために、各メンバーが学習した内容を発表・共有
- 課題が終わったらフィードバック
課題解決のためには、各メンバーがエキスパートグループで学習した内容を発表・共有する必要がありますが、その際には協力やプレゼンテーション、コミュニケーション、合意形成などが行われます。
PBL
PBLはアメリカの教育学者ジョン・デューイ氏が提唱した学習方法で、正式には「Project Based Learning」といい、日本語に訳すと「課題解決型学習」となります。
特徴は、提示された課題に対して、グループ同士がディスカッションやグループ・ワークを通じて解決方法を探していく学習方法になります。
実際の流れは下記のようになります。
- 問題が提示される(あるいは見つけさせる)
- 問題に対する解決方法を論理的に模索する
- グループ内でアイデアを出し合う
- 必要な調査や資料を考える
- 各メンバーが自主的に学習
- 学習した内容を課題解決に活用
- 学習内容を発表
PBLでは、問題解決のための方法を様々な角度から自分たちで考える力が養われます。
Think-Pair-Share
Think-Pair-Shareは、まず一人で問題について考え、その後ペアを作って共有・議論し、その内容を全体にシェアしていく学習法です。自分の考えと他人の考えを共有して比較しながら、より良い内容に仕上げることができます。
Think-Pair-Shareの流れは以下の通りです。
- 教師が問題を全員に提示
- 個別に数分間考える
- ペアを組んで、それぞれに自分の考えを紹介
- それぞれの考え方に違いがある場合は、自分の考えの根拠を説明
- 双方の意見を一つにまとめられるか検討
- 4〜6人のグループになり、ペアに紹介した内容を発表
議論を行う前に一人で考えさせるため自身の意見を持たせることができます。また、全体でシェアする前にペアで議論をするため、話しやすい環境を作ることができます。
ラウンド・ロビン
ラウンド・ロビンは、教師が出した問題に対して、4〜6人のグループでひとりずつ意見を出し合い、アイデアを記録していきます。1人のメンバーが意見を出す際は、他のメンバーは意見を挟まず、まずは多くの意見を出させることを目指します。
意見を否定せずに多くのアイデアを書き出すという点ではブレインストーミングに似ていると言えるでしょう。
ラウンド・ロビンの流れは以下のおとりです。
- 教師が問題を全員に提示
- 4〜6人のグループに分かれ、アイデアの記録者を決める
- 他の人が出した意見に質問や評価を挟まないことを注意事項として伝える
- 意見を出す数や時間制限について伝える
- スタートの人を決め、開始する
ラウンド・ロビンを行なって記録されたアイデアや意見は、次の段階で問題解決方法を検討するために使用します。
ディベート・ディスカッション
ディベートやディスカッションもアクティブラーニングでよく取り入れられる手法です。
ディベートでは、1つのテーマに対して肯定派と否定派に分かれて議論をします。客観的な見方に立って意見を言うと同時に、相手の指摘や質問に対して論理的に回答する必要があります。
ディベートの最後にどちらが根拠や論理に基づいて意見を展開できたか、審判が勝敗を決めます。そのため、一般常識的に否定される内容でも個人の感情に基づいて意見を述べた場合、ディベートでは負けてしまうこともあります。様々なテーマについてディベートを行うことで常に根拠に基づいて論理的に思考する能力を養うことができます。
ディスカッションでは、肯定派・否定派に分かれるということはせず、提示されたテーマに対して様々な意見を出し合います。ディベートのように議論に勝つために意見を出し合うのではなく、より良い解決方法を導くために意見を出し合うため柔軟な発想力が鍛えられます。
また、ディスカッションでは役割を与えずに発言する機会を与えるので、積極性も身につき、他と協調しながら話し合うことの大切さも学べます。
eラーニングのアクティブラーニング化
昨今、企業や教育機関で取り入れられているeラーニングですが、従来のeラーニング教材においても受動的な学習スタイルが一般的でした。
eラーニングをより効果的・効率的に実施するために開発されたLMS(eラーニングシステム)を用いることで、eラーニングをアクティブラーニング化することができるようになりました。
LMSによってeラーニングに起こった変化
LMSとは、Learning Management Systemの略語で学習管理システムのことで、受講者の管理や教材の追加・修正を簡単に行うことができます。
LMSを導入することにより学習に関する様々なデータの集計や分析が容易になりました。
- 受講者の学習ペース
- 受講者のテストの点数
- 受講者の得意な分野と苦手な分野
このようなデータを活用することにより、個々に寄り添った学習のサポートができるようになりました。
またLMSには下記の機能が搭載されている場合もあるため、よりコミュニケーションが取りやすくなりました。
- 社内SNS
- チャット
- Webセミナー・ライブ配信
これらの機能により、一方通行になりやすかったeラーニングでの学習が双方向になり、受講者も積極的に学習に参加することができるようになりました。
LMSとアクティブラーニングの相性
LMSの機能により、受講者も積極的に学習に参加できるようになりました。そのため、eラーニングのアクティブラーニング化も容易になっています。
本記事で紹介したアクティブラーニングの手法もライブ配信機能を用いることで、オンライン上で実施することができます。ディスカッションの様子も録画をしておけば、後ほど確認することができるため他グループを参考にしたり、フィードバックしたりすることができます。
企業がオフラインでアクティブラーニングを実施する際は、集合する会場や参加者の移動費等を手配する必要がありますが、LMSを用いれば容易に実施することが可能です。
アクティブラーニングを実施する前に必要な事前知識も、前もってLMSで教材として配布することができるため、より効率的・効果的な学習体験を提供することができます。
このようにアクティブラーニングとLMSは相性が良いと言えるでしょう。
LMSを用いてアクティブラーニングを実施する際のポイント
アクティブラーニングと相性が良いLMSですが、実施の際に気をつけなければならないポイントがあります。
- ファシリテーターを導入する
- 実施後のフォローやフィードバックを行う
それぞれのポイントについて解説します。
ファシリテーターを導入する
LMSの機能を利用することでグループ・ディスカッションを実施することができますが、その際にはファシリテーターを導入することが重要です。ファシリテーターとは、会議や研修の進行役で、参加者の発言を促すサポート役でもあり、目的に導く存在です。
オンラインでディスカッションを行う場合、参加者は画面越しで発言をします。オフラインでディスカッションを行うときよりも発言をするタイミングや他の参加者の表情を読み取りづらいため、発言に対して消極的になってしまう参加者も出てくるでしょう。
そのような場合に、各参加者に発言を促し、意見を上手にまとめるファシリテーターという存在が重要になります。
実施後のフォローやフィードバックを行う
アクティブラーニング実施後は、受講者のフォローや提出されたワークへのフィードバックを行うことが大切です。
アクティブラーニングはアウトプットに重点を置いた学習であるため、実施後にフィードバックを行い、知識や内容を定着させることが重要になります。様々なグループのディスカッションの様子を公開して振り返りを行なったり、実施後にアンケートを取ったりするなどして、受講者のフォローを行いましょう。
LMSの機能を活用することでディスカッションの様子を録画したり、アンケートを実施したりすることができます。
参考:LMSの主な機能一覧【選び方のポイントや導入時の注意点も解説】
アクティブラーニングを導入しよう
アクティブラーニングの導入により、受講者は能動的に学習に取り組むことが容易になります。
より効果的な学習体験を提供するためにも、アクティブラーニングの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
本記事のまとめは以下になります。
- アクティブラーニングとは受講者が積極的に学習に参加する学習法のこと
- アクティブラーニングには様々な手法がある
- アクティブラーニングとLMSは相性が良い
LMSを活用することで、オンライン上で容易にアクティブラーニングを取り入れることができます。アクティブラーニングを検討する際は、LMSの活用も併せて検討してみてください。
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